通勤途中に小説を〜短編小説 『幽霊』

線香の灰や枯れた花が一掃され、ぺんぺん草一つ生えないまでにキレイに片つけられたのは少し前のことなのに、今では夏に供えられた花がそのままに風に身を揺らしている。枯れススキは風情があるが、枯れ仏花は恐怖心を煽るだけだ。それだけに墓場には相応しいのかもしれない。毎年のこととはいえ、お盆になるとわずか数日…